不動産屋のはじめかた

 宅建業免許を取得して開業するまでを3ステップでご説明いたします。(神奈川県を例にしています)

目次

 まずは、不動産業を始めるにあたって、宅建業免許取得の前にするべき準備があります。

1、法人か個人か?(宅建業免許をどちらで取得するか)

 個人で開業した場合、会社設立に伴うコストが削減できるメリットがある一方で、顧客や金融機関等の外部からの信頼が会社に比べ低く見られてしまう可能性があります。また、免許も組織に対してではなく個人への免許となるため免許の後継者への引継ぎができません。

 法人化した場合は設立登記にかかる費用、社会保険、税金面で個人起業と異なりコストがかかります。しかし、法人化することで信頼性の向上による融資や雇用面でのメリット、税制度上のメリットを受けられる場合があります。

2、 事務所をどこにするべきか?

 店舗(事務所)を駅前にするか、路面店にするか空中店舗にするか、費用を抑えるためレンタルオフィスや自宅兼事務所にするかは自身の業態やターゲット次第ですが、いずれも後述の免許の条件に合っている必要があります。

 宅建業免許を取得して営業開始可能となるまでに、審査の都合上おおよそ2か月かかります。営業開始まで時間がかかりますが、申請時に事務所は既に準備されてなければなりません。物件が決まったら、早めに申請しないと家賃がかかり続けます。

3、 専任の宅地建物取引士の人数は足りているか

   一人での起業で自身が宅建士であれば良いのですが、従業員が複数人いる場合は、専任の宅地建物取引士の設置要件を満たしていなければなりません。具体的には、従業員5人に1人です。人数に足りない場合は雇い入れが必要です。

 基本的な運営事項について決まったら、次は宅建業免許取得をしましょう。

免許取得条件

免許取得にはいくつかの条件がありますのでご説明します。

1、欠格要件

役員等(法定代理人、政令使用人、相談役、顧問等含む)が下記事項に該当する場合は免許を受けられません。

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免許不正取得、 業務停止処分事由に該当し情状が特に重い場合または業務停止処分違反に該当
するとして免許を取り消された者(聴聞公示日前60日以内に役員であった者を含む)
上記のいずれかの事由に該当するとして、免許取消処分の聴聞の公示をされた後、相当の理由
なく解散または廃業の届出を行った者(聴聞公示日前60日以内に役員であった者を含む)
上記の聴聞の公示をされた後、相当の理由なく合併により消滅した法人の役員であった者
(聴聞公示日前60日以内に役員であった者を含む)
禁固刑以上の刑に処せられた者
宅建業法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に違反し、又は刑法(傷害、脅迫等)
暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金刑に処せられた者
宅地建物取引業に関し不正または著しく不当な行為をした者
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員又は暴力団員であった者
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
宅地建物取引業に関し不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者
心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない者
2、事務所要件

 独立性が必要となりテント張りやホテルの1室は不可です。他者との事務所共同利用も基本不可ですが、仕切りがあり他の事務所を通らずに出入り可能であれば認められる可能性があります。また、レンタルオフィスも状況により認められる場合があります。

 自宅兼事務所の場合も通路・廊下等の共用部分を通り居住用の部屋に入らずに事務所へ出入り出来れば認められます。このとき、居住部も事務所を通過せずに出入り可能でなければなりません。

※商業登記に本店・支店があり支店のみの営業でも本店も事務所扱いになり営業保証金が必要になります。

3、人的要件

 従たる事務所(支店)を設ける場合には代表取締役が常勤しないのであれば、使用人(支店長や営業所長等)を置く必要があります。

 他に、事務所には必要な配置人数を満たした常勤の専任の宅地建物取引士を置く必要があります。

4、営業保証金

 免許申請をし免許の通知が届いたら営業保証金を供託します。協会に加入しない場合は、本店で1000万円、支店で1か所あたり500万円が必要です。

 宅地建物取引業保証協会に加入の場合は本店で60万円、支店1か所で30万円必要です。加えて、それぞれの協会ごとに諸経費がかかります。

 

宅建業免許取得のながれ

 要件をクリアしたら免許申請です。おおまかな流れは

STEP
申請

窓口となる行政庁へ免許申請

STEP
免許

書類に不備がなければ免許となります

STEP
供託

供託金または分担金の納付をします

STEP
免許証受領

供託か分担金納付後に免許証交付を受け営業開始となります

合わせて 協会に入る場合は

STEP
入会手続き

役所への申請後に協会への入会手続きを行います

STEP
事務所調査等

事務所調査等・入会に必要な項目を処理

STEP
分担金納付

役所からの免許後に分担金納付を行います

 協会へ加入する場合ですが、それぞれの協会の入会時にかかる費用については時期等によって異なります。詳細は下記リンクを参照ください。

ハト(全国宅地建物取引業保証協会)・うさぎ(全日本不動産協会)

※免許取得後は取引士としての勤務先変更の登録手続きも別途必要です。

 免許取得したらいよいよ営業開始です。チラシ・DMやポータルサイト等広告を活用し営業がスタートしますが、その他にも免許業者は開業後もいろいろとすることがあります。

1、証明書の携帯等

従業員は従業者証明書という社員証のような証明書の携帯が必要となっています。

取引関係者から請求があれば提示しなければなりません。

従業者証明書の様式

出典:国土交通省ウェブサイト (https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000176.html

 また、事務所ごとに従業員名簿を備えなければなりません。

従業員名簿の様式

出典:国土交通省ウェブサイト (https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000176.html

2、帳簿(取引台帳)の備え付け

 事務所ごとに取引の「取引年月日・物件の所在・面積・代金・報酬・関与宅建士の氏名等」を記載した帳簿を置かなければなりません。

参考例:帳簿(取引台帳)茨城県のページ

3、標識の掲示

見やすい場所に標識(業者票)と報酬額表を掲示しなければなりません。

アマゾンや楽天でも購入可能です。

  業態によっては以下の手続きが必要な場合があります

 

1 賃貸住宅管理業登録

 賃貸住宅の専有部と共用部全体を賃貸人から委託を受けて、維持保全(点検、清掃その他の維持を行い、必要な修繕を行うことを言い、維持保全に係る契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理を行う業務を含む。)業務を行い、(賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務も併せて行う場合はその業務も含みます)管理戸数が200を超える場合に登録が必要です。

2 その他の登録業務

 その他には、管理組合から委託を受けて管理事務を行う際に、「マンション管理業登録」が必要です。また、民泊事業者からの委託を受けて民泊物件の管理業務を行う際には「住宅宿泊管理業登録」が必要です。

3 宅建業免許取得後の手続き

 宅建業免許取得後は取引士登録の手続き同様に、変更事項があれば変更届を、更新時期が来れば更新手続きが必要です。

 宅建業免許申請にはいろいろとやることがあり、営業に関することにはご自身でも手続きが可能ですが、手間と時間がかかります。

お急ぎの場合や面倒でお困りのときは、許認可に強い行政書士があなたの代わりに書類作成・書類収集・申請代行・許可等の管理いたします!ぜひご利用ください。

免許取得前から取得した後までしっかりサポートさせていただきます。

   電話は9~20時・土日祝日もOKです。

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